2学期始業式

◆8月20日(木)に2学期の始業式を行い、山脇校長は式辞で次のことを話されました。

(コロナウイルス感染拡大防止のため、放送を通じての実施)

 おはようございます。夏休みは元気で過ごしましたか?

 2学期も新型コロナウイルス感染防止の観点から、放送での始業式の挨拶になってしまったことを残念に思いますが、医療や行政関係の最前線で戦っておられる方々の尽力により、2学期を迎えられたことに全員で感謝しましょう。

 皆さんも知っているように、罹患状況も確実に増えてきております。三密を避け、うがい、手洗い、マスク、大きな声での会話など、生徒一人一人が感染しないように最善の注意を払ってくれることを切にお願いします。

 また、この感染症は、誰が罹患してもおかしくありません。もし、体調がおかしい場合は遠慮せずに学校に連絡して、医療機関を受診して下さい。身近に感染した人が出た場合でも誹謗中傷など絶対にしないよう人間としての品格を身につけた行動をして下さい。

 このような状況での2学期のスタートですので、今学期を正常な状態で終える保証はありません。感染者が増加すれば、部活動の中止や学校自体が臨時休業ということもあり得ます。そのことを常に考えて、今日1日、1時間1時間の授業、部活動の練習など、一瞬一瞬に魂を込めて生活して下さい。

 3年生にとっては自分の進路を決める学期です。進学でも就職でも、その先に自分と他者との健やかな関連性のうえに自分の豊かな人生を築くという人間としての使命と覚悟を定めて、それぞれが歩む道をしっかりと掴んで下さい。その過程を教職員や後輩たちは見ています。式典は来年に延期になったとはいえ、秋商100周年の卒業生として、それぞれが目指す進路を手に入れて下さい。

 仕事をする、学業に身を投じる。人それぞれ進路は違いますが、一つのことに全身全霊で打ち込む姿が最も美しい行為です。

 日本には古来から、「一隅を照らす、これ国の宝なり」ということばがあります。「それぞれの立場で精一杯努力する人は誰でも、何者にも代えがたい大事な国の宝だ」という意味です。

 また、「一燈照隅 万燈照国」という言葉もあります。これは、「一隅を照らす光が集まれば、その光は国全体をも照らすことになる」ということです。

 また、ヨーロッパには「二人の石切職人の話」があります。二人の石切職人が、夏の暑い盛りに、石を切り出す作業をしていました。最初の職人に「何をしているんですか。」と聞いたところ、職人は忌々しい顔つきで、「見ればわかるだろう、この暑い中を石を切り出しているんだよ。」と答えた。

 もう一人の石切職人に同じ事を聞いたところ、目を輝かせて、「人々が安らぎを求めに来る素晴らしい教会を作るために、石を切り出しているんだ。素晴らしい仕事だろ。」と遙か彼方を見つめながら言った。

 最近の話では、東京都内で弁当の配達販売を行っている経営者は、社員に、「君たちが、毎日、弁当を配達しているこの大手町や丸の内で働く人々は、日本を支えている人たちなんだ。その人たちに、栄養のある、美味しい弁当を届けるということは、君たちが、この日本を支えているんだ。」と話しています。 

 回りくどくなりましたが、先ほどの最澄の言葉、「一隅を照らす、これ国の宝なり」の真の意味を理解できたかと思います。

 1,2年生にとっても大切な季節になります。新人戦も開催されるでしょう。また、自分の進路を考えた場合に、この2学期に取得しなければならない資格はたくさんあるはずです。この資格があれば、無遅刻無欠席だから、自分の希望を叶えられる、そのためにも、自己管理をしっかりと行って、一日一日を責任を持って生活して下さい。

 1学期終業式で言ったことを繰り返します。「与えられたただ一度の、限りある人生を、志と使命感を持って、香りある人生を歩むため、この100年の伝統を持つ秋商で、人間としての品格を身につけて欲しい。」この品格とは、人間関係や生活において交わされる「お陰様で」「お互い様です」という言葉の深い意味を理解して初めて身につくものです。

 皆さんは商業科の授業で「財務諸表」を学んでいますが、「財務諸表」は、貨幣価値によって企業活動を目に見えるようにしたもので、非常に重要なものですが、目に見えない人間の価値が見えるようになる人間としての成熟、すなわち、品格を身につけることもあわせて勉強して下さい。

 目に見える貨幣価値で経済社会を見つめる力と、目に見えない人間の価値を感じられるようになることの両方を学ぶこと、これが、秋田商業でいう「文武両道」の真の意味です。

 今学期も、限りある貴重な時間を、自分と仲間の成長のために必死に頑張ってください。

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