令和2年度卒業式

3月3日(水)本校体育館で、令和二年度第72回卒業証書授与式が行われ、238名の卒業生を送り出しました。担任から一人一人呼名され、それに応えて元気に返事をした後、クラス代表6名が山脇聡校長から卒業証書を授与されました。

【校長式辞】

 山脇 聡校長は、

 「風雪厳しい、ここ「勝平の丘」にも陽光が注ぎはじめ、遙か見渡す、太平の山並みにも春の気配が感じられるようになりました。

 本日、ここに、コロナ禍にも拘わらず、秋田市長 穂積 志 様、秋商雄水会会長 鈴木茂夫 様をはじめ、多くのご来賓、保護者の方々のご臨席を賜り、「令和2年度 第72回 秋田市立秋田商業高等学校 卒業証書授与式」を挙行できますことは、誠に喜ばしい限りでございます。

 御臨席くださいました皆様には、本校のことをいつもお心にかけていただき感謝に堪えません。職員を代表いたしまして衷心より御礼を申し上げます。

 卒業証書を授与された238名の皆さんは、3年前、知識基盤社会と言われる変化の激しい時代に、自らの興味関心や個性を、社会で発揮させるため、期待に胸を膨らませて本校に入学されました。

 皆さんは、この学び舎で3年間、「心の故郷秋商」に凝縮された人間の品格と、忍耐力を兼ね備え、麗しい校風となって「秋商一家」として引き継がれているよき伝統に育まれ、学業、部活動、学校行事やビジネス実践学習などに取り組み、充実した高校生活を送ってきました。

 とはいっても、令和2年は新型コロナウィルス感染拡大を防ぐため、3月いっぱいの臨時休校、新年度も入学式までは挙行出来ましたが、その後、約1ヶ月間に渡る臨時休校、さらには、秋田県高等学校総合体育大会や、高等学校野球選手権大会の中止など、皆さんにとっては悔しさの残る高校最後の1年間でありました。

 そんな姿を目にし、言葉を失い、深い悲しみが私の胸に刻まれました。しかし、皆さんは自分本位の考え方ではなく、社会で起こっていることを深く解釈し、この現状が、自分自身に「何を学べ」「何に気づけ」「何をすべきか」という人間としての成長の姿を見せてくれました。

 単に、知識を覚える段階から、部活動を含む学校教育が求める尊さ、強さ、美しさ、協働性、思いやりの心など、人間としての品格を高める目に見えない価値に気づいてくれました。

 また、令和2年は、創立100年の記念する年でもありました。多くの秋商卒業者、秋田商業に思いを馳せる多くの方々からの浄財と設置者である秋田市の御支援によって、創立100周年記念秋商アリーナ2020が建設、完成されました。

 記念式典等は来年度に延期となってしまいましたが、本校卒業生のシンガーソングライターが、卒業生応援ソングを作成してくれるなど、皆さんに対して先輩方からの有り難い贈り物も多々ありました。

 このような「秋商」で結ばれた「縁」に感謝し、何事にも「勤勉」に努力し、肉体の鍛錬、知識の鍛錬、心の鍛錬を惜しまず、お互いのよりよき成長を目指してくれました。

 さて、現在は、Society5.0 、AI、 ロボティックス社会と呼ばれ、それに対応する資質能力の育成が急務となっていますが、いったん立ち止まって考えてみれば、それらが織りなす社会は、多くのデータを処理し、視覚化された価値のみを表しています。

 確かに、データ、ファクト、ロジックはコミニュケーションや説明、説得には必要な基本的能力であります。しかし、皆さんは、その前提となる人間の心の動きを感じることや、貨幣価値だけでは表せないボランタリィーな社会について学びました。具体的には、人間の持つ関係資本や信頼資本です。

 AKISHOPや部活動でも、学校以外の方々と協働して何かをやり遂げるには、専門性を持った方と深く関わることの大切さ、すなわち、秋商という名のもとに、それぞれの専門家が結集してくれる関係資本のありがたさを学びました。

 そして、他者からの信頼を得るには長い期間の努力が必要となるが、その信頼は、一瞬にして失ってしまうという、信頼資本の強さともろさを学びました。

 先が不透明で混沌とした社会だからこそ、このような人間としての倫理観や道徳心が何にも増して重要な時代になります。

 目標に向かって、倒れても、敗れても、立ち上がり、その失敗や挫折を成長への機会と捉える秋商魂を、誇り高く胸に刻み、品格を持ち、香りある人生を歩まれることを願っております。

 結びに、保護者の皆様にお祝いと御礼を申し上げます。

 お子様のご卒業、本当におめでとうございます。たくましく成長した、本日の姿を目にして、感慨もひとしおかと存じます。

 お子様たちが、この「学び舎」で身に付けた「真 善 美」と「誠」による人間力   「仁 徳 義 礼」に基づいた「良識」 「対話と尊敬」による人間関係構築力を基盤として、それぞれが選んだ道を、誇りと希望をもって活躍することを、本校職員一同、心から願っております。

 また、これまで、本校の教育方針、教育活動にご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございました。改めて、感謝いたしますとともに、これからも厚いご支援をお願い申し上げて、式辞といたします。」と話されました。

【送辞】

生徒会長 須藤哲平 さんは、

「入学したばかりで何もわからなかった私たちに、優しくご指導くださった先輩方は、常に私たちの模範であり、私たちの憧れです。世界中を襲ったコロナウィルスの影響で、創立100周年記念式典が延期となったばかりか、全ての部活動の全国大会が中止となり、三年間の高校生活を懸けた最後の大会の場を奪われた先輩方は、それでも、代替大会に向け、黙々とただひたすらに練習に取り組まれました。私たち在校生はその姿を決して忘れません。私たちは、先輩方の背中を追い、新たな101年目の生徒として、秋商のこれまでの輝かしい歴史を受け止め、新たな歴史を築いていけるよう頑張って参ります。困難な時代のただ中へ飛び立とうとする先輩方の、力強い羽ばたきを私たちは応援しています。」と話しました。

【答辞】

 前生徒会長 三浦圭佑さんは、

3年間を振り返り、 「不安を抱きながらも緊張のうちに終えた1年。修学旅行や球技大会、AKISHOPなど思い出も多く充実した2年。ところが、3年に上がって、私たちを待ち受けていたのは「絶望」でした。新型コロナウィルスの影響で、各部の大会が軒並み中止となったのです。頭が真っ白になりました。三年間必死に積み重ねてきたものを一瞬で崩されました。しかし、冷静に考えてみれば、これまでも様々な困難がありました。それを乗り越えることができたのは、支えてくれる人がいたからです。毎朝誰よりも早く来て除雪してくださる技師さん、いつも清潔なトイレを使わせてくださるKさん。今こうして無事に卒業できるのも、親、先生方、友人ばかりでなく、そういう方すべてのおかげだと私は思います。今日を区切りに、その人たちに、感謝の気持ちをはっきり口に出して伝えましょう。私たちは、これからそれぞれの道に進みます。そこにはまた新たな出来事が待っています。私たちは、どんな困難があっても、挫けずにしっかりと前を向いて進んで行くことを誓い ます。」と決意を述べました。

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